No.61(2005年4月号)


「1年のうち日本とニューヨークと半々くらいの生活ですね。旅も多いですよ。2年前にカリフォルニアから引っ越しました。
カリフォルニアがいちばん好きですね。冬はパラオがいいな」忙しい合間を縫って、故郷ブラジルで兄弟がやっている
農場も訪れる。
猪木さんは、ブラジルで力道山に見いだされて日本のプロレス界にデビューした時から、国境を飛び越えた人なのです。
プロレスラーとしてリングで活躍するにとどまらず、プロレス界を再建したり、スポーツ振興に貢献したり、政界に出
たりと幅広い活動をしてきました。けれど、現役レスラー時代からずっと持ち続けている大きなテーマがあります。
それはエネルギー問題と環境問題。「さとうきびの絞りかすからバイオで牛のえさをつくる事業とか、風力発電など、
もう10以上のプロジェクトに出資していますが、どれもモノにならなくてね」
え! それじゃ大損では?
と心配になりますが、猪木さんはあっさりしたもの。関心は次の事業にあるようです。
「今関わっているのは、まあ平た
く言えば新しい発電機。発表するとエネルギー革命になると思いますよ。
もちろん私自身は技術者ではありませんから、この事業への出資は、恊「界にあかりを灯す揩ニいう夢を、私が買ったと
いうことですかね」
プロレスの猪木さんが畑違いの事業に取り組んでいるのは不思議なようですが、昔から取り組んでいることは知る人ぞ
知るところ。 「今回の発電機が完成したら、それで途上国の子どもたちにテレビを見せてあげるというのが夢です。
テレビを見たことがない子どもたちにね。情報格差の是正や視聴覚教育に役立って、世界平和に一歩でも近づくこと
になればいいと思うのです」
猪木さんといえば、サンゴの保護活動でも有名です。サンゴも猪木さんのライフワーク。ミクロネシアのパラオのイノキ島
で、サンゴを人工的に植え付けています。「サンゴの研究をする先生はたくさんいらっしゃるでしょうが、サンゴの増殖を
試みているのは、われわれぐらいのものでしょう」周囲5キロの美しいイノキ島は、30年ほど前にパラオの大酋長からプレゼ
ントされたもの。今もパラオの親善大使です。
「きれいな島で、きれいな海に飛び込んで、養殖サンゴのチェックをする。最近は体のあちこちが痛いし、激しい運動
もできなくなってきたから、そろそろそんな生活がしたいですね」 デスクワークには向かないから、老後も体を動かせ
る仕事がいい。一日海に入って楽しんで、それで環境問題にも貢献できれば、こんなにいいことはないという猪木さん。
けれど、プロレスは卒業しても、ファンはやっぱり猪木さんの姿が見たい。あっちからもこっちからも引っ張りだこです。
最近気に入っている言葉は「時代に出会って、時代に恋して、時代を背負って歩こうよ」というもの。
いつまでも現役の猪木さん。 「1、2、3、ダー!」ですね。
アントニオ猪木さん