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  〜 No.52  (2003年10月号)

安心して介護や子育てができる社会にしなくては

 
参議院議員
舛添要一さん

舛添要一さんは東京大学法学部を卒業後、パリやジュネーブでの研究生活を経て、国際政治学者として活躍。1996年から足掛け5年にわたってお母様の介護をされたことはつとに有名です。現在は参議院議員として介護問題にも取り組んでおられます。


「毎週末、九州・八幡の母を見舞う生活を5年間。我ながらよくやったと思います。体力的にも経済的にも大変でした。たまたま私が自由業で、新幹線とパソコンのインターネットを活用できたおかげです。私は4人の姉がいるのですが、男はぼくだけ。行って『元気か』と声を掛けるのがもっとも大きな役割でした」
都知事選挙に立候補したのは、介護がきっかけ。介護保険を実施するのは地方自治体だからと思って立候補したけれど、落選。その後160万票とって参議員議員になり、介護のムダづかいを追及していらっしゃいます。
「私が母を介護していた頃は、おむつ代の医療費控除を申請するには医師のおむつ使用証明書が必要でした。私はテレビや新聞で、これはおむつ購入の領収証で十分と訴えたのですが厚生省は受け入れてくれなかった。それが議員の立場から発言したら4カ月で変わりました。今は介護認定書でよくなったのです。こういう時、議員になってよかったなと思います」
舛添さんが介護をしながら綴った『母に襁褓(むつき)をあてるとき 介護 闘いの日々』(中央公論社)は大反響を巻き起こしました。そしてお母様が亡くなられた後に『痴呆の母を看取って』(佼成出版社)を出版。よくぞここまでというくらい、飾らずに現実を直視した筆致が、どれほど多くの人を勇気づけたことでしょう。そして、働き盛りの男性が親の介護に一所懸命になることはカッコ悪くないことだという時代の先駆けとなったのでした。
「あの本を読んで、ウチのほうがましだと言う人もいれば、ウチはもっと大変だという人もいます。介護の問題は、身に降りかかってこないとわからないですね。何よりも、テレビ番組を見たり本を読むだけではわからないのは、においです。介護の汚い部分から目をそらしてはだめです」
介護を体験した方だからこそ言える重みのある言葉です。
「院長や施設長が自分が入所したいと思える施設だと言い切れるなら、それはいい施設ですよ」
いい施設の見分け方はありますか、とお尋ねしたらこんな答が返ってきました。
「介護保険でハードはだいぶ充実しましたが、施設も在宅医療ももう少しあっていいと思います。そして精神面のケアがこれからの課題です。高齢者も家族も気が滅入ってしまわないように、社会の精神的なケアが大切です」
舛添さんにはお母様が86歳で亡くなった翌日に誕生した満3歳になるご長女、そしてこの5月に生まれたご長男がいらっしゃいます。
「いやー、大きなオムツから新生児のちいちゃなオムツへ、オムツ替えの10年ですよ。今は保育問題にも関心があります。議員としては生活密着型の問題意識を持つことも悪くないと思っています」
著名な国際政治学者として若い頃から活躍してこられた舛添さんですが、庶民の生活の視点をきっちり持っていらっしゃるのが印象的でした。